マジメさんのライフ・ラボ

マジメに気楽に考えたことをつらつらと

決断すべきタイミング

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何かの決断をしないといけないとき。

 

人それぞれに、それぞれのシチュエーションで、ときに大きな決断を迫られることがあります。

もしくは、自分から大きな決断をしようと決心することもありますね。

 

「就学・就職・結婚が人生の三大イベント」なんて言われることもあります。

どう考えるかはその人次第ですが、自ずとこの3つに関わる決断は人生においてとても大きなウェイトを占めるのではないかと思います。

要するに「どこで学ぶか」「どこで働くか」「誰と結婚するか」ということです。

 

私はまだ3つ目は経験してませんが(独身貴族なので笑)、1つ目と2つ目についてはかなり大きな決断をこれまでしてきました。

そして、今日お伝えしたいことは私が1つ目の決断をしようとしたときのお話です。

 

私は小学校は地元の普通の公立、中高は親の勧めで父の母校である中高一貫の私立進学校に進みました。

ここまではよくある話ですね。

 

ただ、ここから私は、高校まで進んだ後に自分から学校を離れる決断をしました。

これは、誰かにそうしろと言われたのでもなく、完全に自分の意思です。

「辞めたいと思ったから辞めた」、ただそれだけの話です。

 

当時からマジメくんだった私は、小学校のときにがんばって遊ぶ時間を削って受験勉強に明け暮れてまで入ったこの学校に、とてもとても失望していました。

確かに周りの子たちはよく勉強はできましたが、あまりにモラルが低すぎたのです。

 

特にいじめられたのでもなければ、成績が悪かったわけでもない。友達も普通にいましたし、部活も充実していました。

まあ、普通に学校に通う大多数の同級生からすれば「そんなこと、べつに普通じゃん」と言われそうなことだったのかもしれませんが、当時の私にとっては、次第に「こんな所にこれ以上いれない」と思うほどにストレスを感じ、心をすり減らしていました。

(具体的になにがあったのか、というのはまた別の機会で書きます)

 

心をすり減らしていく中で、次第に親にも学校を辞めたいということをほのめかすようになりました。

そのうち足も学校に向かなくなり、欠席も増える一方。

そんな状況を見かねたのでしょう、ある日学校から電話があり、なんと校長先生と私と母とで三者面談をすることになりました。

 

母は疲れ果てた私を連れて学校に向かい、静かに校長室に入りました。

私の通っていた学校はキリスト教カトリック系だったので、当時の校長先生は神父さんでした。

学校に通っていたときに一度クラスを持ってもらった、恰幅の良い威厳のある神父さんです。

学校をとことん嫌った私でしたが、不思議とその校長先生には拒絶感はなかったことは覚えています。

 

静かな校長室の中で、困り果てた母が私の現状を話すものの、私はただうなだれるだけ。

母が話す間、校長先生は母の気持ちをたしなめながらじっと話を聞いていました。

そして一通り話を聞いた後、校長先生が静かに口を開き、私に向けてこう言われました。

 

「調子が悪いとき、気持ちが沈み込んでいるときに、大きな決断はしてはいけないよ。大きな決断は、調子が良いときにしなさい」

 

「学校に来なさい」とも「無理して学校に来なくても良い」でもなく、校長先生からわたしに向けられた言葉はそのひと言でした。

私が何を考えているか、大方見透かされていたのでしょう。その上で、このひと言を言われたのだと思います。

結局、そのときは学校を辞めることはなくがんばって一度復学しました。まあ、ゆくゆくは2年後ぐらいに辞めることになるんですけどね。

 

この言葉は、社会人となった今でもずっと心の底に残って、何かの岐路に立たされたときに決まって心の中に浮かび上がってきます。

調子が悪いときに衝動的に下す決断が、後になって振り返ったときに後悔することにしかならないことを、校長先生は自身の人生の中で知っていたのかもしれません。

 

学校を辞める。会社を辞める。パートナーと別れる。

こうした「離れる」決断には、「どこに入学する」「どこに就職する」「誰と結婚する」という「くっつく」決断よりも数倍、数十倍のエネルギーを使いますし、その分重みも増します。

「離れる」決断をするときって、「現状が嫌だから、とりあえずこの状況から抜け出せたら良い結果が待っているに違いない」と、調子が悪いときほど思いがちなんですね。

言うなれば、冷静な思考というよりも、「危険を回避したい」という原始的な反応から来る場合が多いようにも思います。

(もちろん、何か前向きなことにチャレンジしていくときは後先考えずにまず行動してみることが一番ですけどね)

でも、離れた後に何が待っているのかをよくよく考えもせず、勢いで離れてしまった後に後悔する羽目になった人はごまんといるはずです。

 

私も結局は学校を辞めることになりましたが、一度復学する努力をして考える時間を得た上で、納得して学校を去りました。

これが勢い任せの決断であったなら、その後にどれほど後悔していたか分かりません。

時間は一方向にしか進みませんから、後悔したときにはもう後戻りはできなくなっている、というのがこの世の常なのだと思います。

 

調子が悪いときは、ずっとは続きません。たいてい、どこかで思わぬタイミングで晴れ間がのぞくこともあるものです。

晴れ間がのぞいて調子が良くなってきたとき、きちんと冷静に考えた上で変わらぬ決断をするのなら、何も問題はありません。

ただ、調子が良くなったら考えが変わるようなことがあるのであれば、いったんその「大きな決断」は引っ込めておいても良いのかもしれませんね。

 

それは、「誰か」があなたに「今はその決断をするタイミングではない」ことを伝えようとしているのだと、考えてみてはいかがでしょうか。