「あのときに比べれば」思考法
誰にでも、辛いときはありますよね。
家庭でも職場でも友人関係でも...みんな、何かしらの辛さは抱えながら生きているんじゃないでしょうか。
そんなとき、皆さんはどうやって切り抜けていますか?
カラオケなりスポーツなり旅行なり、生活の中でのリフレッシュ法はたくさんありますね。
私もそうしたリフレッシュはもちろんしていますが、時々「あのときに比べればこれくらい...」という考え方も使いながらやり過ごしています。
私は高校のときに学校の雰囲気についていけず、中退の道を選びました。今で言うところの不登校ですね。
日常生活が当たり前のように学校を中心にして回っている高校生にとって、その生活の中心を失うことは自分を支えていたもの全てを失うかのような感覚になります。
自分で望んで学校を離れたはずなのに、その後に襲ってくる喪失感や絶望感、周りに置いていかれるという焦りとの葛藤の日々でした。
いっそ、もう死んでしまおうと思ったことも一度や二度ではありませんでした。
そこから奇跡的に立ち直って大学に進み、意気揚々と入社した最初の会社が大変なブラック企業でした。
結局辞めるまでに5年間勤めましたが、その間にすり減らした体力と精神力は凄まじいものがあったと思います。
こんなに働いてもまだ生きていられるのかという自分にも驚きましたが、「もうここから逃げられないのではないか」という閉鎖された絶望感は今だによく覚えています。
あのときに比べれば今はどれだけ楽なんだろう。
そう思えること、これがときには気持ちの救いになったりするものです。
もちろん「あのときはこれぐらい出来たんだから、今もできるはずだ!」なんて、単純に考えて無理をし過ぎたら本当に体や心を壊してしまいかねないので、それはしない方がいいです。
ただ、「辛い」という感情そのものは、実際に目の前に起きている「それなりに辛い」状況を自分の中でどんどんと「さらに辛い」仮想現実に無意識に作り変えてしまうことで生まれることも少なくありません。
「今はとても辛いんだ」と思うことで、「辛い」ことを「さらに辛い」にしてしまっていることってありませんか?
そんなときに「あのときに比べれば、もしかしたら今の状況はそんなに辛いわけじゃないんじゃないか」と、じぶんの感情に巻き込まれずに立ち戻ることができるなら、自分と今の辛い状況の間にちょっとだけ「空白」ができるんです。
今の自分だけでなく、過去の辛さをくぐり抜けてきた自分からも現実を見ることで、辛さに飲み込まれている自分の意識を現実から離すことができます。
これって、立派な生きていくための知恵だと思うんです。
「若い頃の苦労は買ってでもしろ」とよく言われますが、ゆくゆくのことを考えてもその通りだなーと思います。
若い頃の苦労をくぐり抜けたきた体験が、将来何かの辛い現実にぶつかったときに自分を救ってくれるというのは、私もとても実感があります。
それでも、どれだけ年を重ねても辛いことは出てくるんでしょうねー...。
それもまた「生きていく」っていうことなんでしょうね。