ストレスに強い人、弱い人
日頃の生活でひっきりなしに降りかかってくるストレス。
ただ、同じ環境で生きていても、それをストレスに感じるかどうかはかなり個人差があります。
この個人差って、一体何だと思いますか?
気が強かったり、自信家だったり、ポジティブ思考だったり、またはあんまり細かいことを気にしないおおざっぱな人なんかは「ストレスに強い人」かも知れませんね。
一方で、気が弱かったり、自分に自信がなかったり、ネガティブ思考だったり、細かいことに一つ一つ気を取られて考えてしまう人なんかは「ストレスに弱い人」になるでしょう。
「ストレスに強い人」はそのままの自分を伸ばせば強く生きていけそうですね。
ただ、だいたいストレスのことを調べている人は、ほぼ全員が「ストレスに弱い」と感じているんじゃないでしょうか。
だって、ヤフーやらグーグルやらで「ストレス 解消」とか「ストレス どうすれば」とか検索するのは、だいたい日頃の生活で散々ストレスに悩まされてどうしようもなくなっているからですよね。
ストレスのことで悩まない人はそもそもストレスについて調べようとはあまりしませんから。
このブログを見ているようなマジメさんは、ストレスにどうやって向き合うか毎日四苦八苦してそうですね。
(誰よりも私がそうですからね笑)
さてここからが本題。
結局のところ、「ストレスが弱い人」が「ストレスに強い人」になれるのかっていう話です。
考え方はいろいろあると思います。
ある程度のストレスを日々受け続けていれば、いつかはそれに慣れてあまりストレスを感じなくなるんじゃないかという「ストレス耐性アップ説」。
いつもネガティブに考えてしまう癖を、自己啓発セミナーなんかを受けてポジティブ思考に変えたらストレスを感じにくくなるという「思考法改善説」。
おそらくストレスに弱い人は、それなりの方法をこれまで試してきたんじゃないでしょうか。
ところがですね、とてもがっかりするようなことではあるのですが、最近の研究ではストレスへの強い・弱いはどうやら先天的な要素も大きいことが科学的にわかってきているようです。
以前も一度ご紹介したNHKスペシャルで取り上げられた「キラーストレス」の話の中で、こんなことが言われていました。
ストレスへの対処能力の差は、ストレスにかかわる物質がどれだけ体内で生成されるかによって決まり、しかもそれは、遺伝によって左右される「生まれつきの個性」であることが見えてきたのである。
ですって。
詳しい科学的な説明は本も出版されているのでそちらで読んでもらうとして、こんなこと言われると「ストレス弱い人群」はえらく希望を絶たれたようになってしまいます。
「個人の努力ではストレスに強くはなれないんだよ」ってよりによってあのNHKに言われちゃっているんですから。
でも、これを見ていたストレスに弱い人代表みたいな私は考えました。
「自分の力でストレスをどうにもできないんだったら、あきらめちゃった方が逆に楽じゃね?」
半ば開き直って放棄するのもありかも知れない、とふと思ったのです。
「自分の努力でストレス対処能力は上げることができる」という論理のもとで考えてしまうなら、「ストレス対処能力が低い」ということは「ストレス対処能力を高める努力をしていない」、つまり「自分の努力が足りていない」という結論を出してしまいます。
ストレスに打ちのめされている心に、この自責の念はダブルパンチですよね。
マジメな人ほど、すぐに自分を責める方に心が向いてしまいますから。
結局は、その発想そのものがストレス倍増計画まっしぐらになってしまうわけです。
でも逆に、「自分の能力でストレス対処能力を高めることは難しい」という論理のもとであれば、「ストレス対処能力が低い」ことと「ストレス対処能力を高める努力」の間には何の因果関係もなくなります。
であれば、「ストレス対処能力が低い」ことは自分のせいではないわけです。
自分のせいでないのであれば、少なくともそれに対して自分で責任を感じずに済みますよね。
上司に怒られたとき、同僚にイヤミを言われたとき、陰口を言われたとき。
会社や学校の人間関係がうまくいかないとき、大きな失敗をしたとき。
それに対して「まあ、そんなこともあるよね」とサラッと流してすぐに気持ちを切り替えられる=ストレスに強い人もいれば、分かっていてもいつまでも引きずってしまって気持ちを切り替えられない=ストレスに弱い人もいます。
で、気持ちを切り替えられない=ストレスに弱い状態にあるのであれば、それは半ば努力ではどうしようもない、「しょうがないこと」だと試しにあきらめてみてはどうでしょうか。
「そうだ、こんな気持ちになるのはもう生まれつきなんだから、そのことをあれこれ悩んでても仕方ないよね。だっていくら頑張っても変わらないし、これからも変わらないんだから」
この発想から、次第に「ストレスをどうしても感じてしまう自分をどうやってうまく扱っていくか」「扱い方次第では、このストレスに弱い性質のままでも生きやすくなるかもしれない」という所に考えをシフトしていくことができれば、けっこう気持ちは楽になると思います。
その扱い方は、努力次第で少しずつ向上させていけるはずです。
問題なのはストレスに弱いという性質なのではなく、ストレスに弱い自分を扱うスキルが不足していることです。
努力ではどうにもできないことをどうにかしようとするよりも、努力によっては変化を起こしうる領域にまでその問題を分析していければ、生きていく上でのプラスになっていくんじゃないかな、と思う今日この頃です。