マジメさんのライフ・ラボ

マジメに気楽に考えたことをつらつらと

発明家・道脇裕さんの生き方・考え方

私はけっこうテレビのドキュメンタリーが好きで、よく見ています。

(相変わらずマジメな感じですが笑)

 

実際にはその人に出会ったことがなくても、テレビを通じて取り上げられた人の人生に触れて「出会い」を感じることができるからです。

 

その出会いから得られるエネルギーや学ぶこともあり、毎週録画予約をしてます。

 

NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」は、通常の放送時間には他の番組の録画をしているので、深夜帯・昼間の再放送を録画して見てますね~。

 

今日紹介したいのは、先月ぐらいの再放送。

 

道脇裕(2016年11月14日放送)| これまでの放送 | NHK プロフェッショナル 仕事の流儀

 

「どんなことがあっても緩まないボルト」を発明し、世の常識を覆した発明家です。

 

「発明家」という肩書でこの道脇裕さんが紹介されていたことに、まず興味を持ちました。

発明することが職業になるって、エジソンの時代ならまだしも、今もそれで生活が成り立つのかな?というのがそもそも興味を持ったところですね。

 

内容の概要についてはぜひ番組のホームページを見てもらいたいのですが、発明家としての業績もさることながら、私が一番感動したのは、やはり彼の生き方、人生観です。

 

道脇さんは、とにかく「自分の生き方」を貫かれた方だと思いました。

それは組織に属さないということもそうですし、思考そのものが何にも属さない独自のものなんですよね。

 

幼少期におばあさんと食事をしているとき、おばあさんが総入れ歯を取り外して机の上に置いたのを見て、

 

「おばあちゃん、目も外して置いてみて!」

 

と嬉しそうに話した道脇少年。その当時から考え方の自由さの片鱗を見せていました。

 

小学校に入ると、教科書は配られてから1週間ぐらいで自学自習をして終えてしまい、次第に「じゃあ何のために授業を受けているんだろう」「別に学校って来なくてもいいんじゃないか」と思い始めるわけです。

 

小学校5年生にして「この教育システム、仕組みがおかしいんじゃないか」と考え始めるんです。すごいですよね、この感覚の鋭さ。

 

「とにかく、この既存のラインから降りて、何をしたらいいのか、何で生きているのか、もやもやと思っている人生の疑問の答えを見つけたかったんです。 」

 

そう考えた道脇少年は、小5でお母さんに、

「みんなと同じこのシステムに乗っているのは嫌だから、僕は降りる」

と伝えて学校に行かなくなりました。

 

何のために生きているかもわからない。

社会が何のためにあるのかもわからない。

 

そうした人生に対する根本的な疑問を抱えながら、新聞配達や漁師のお手伝いをしながら、中学校、高校にも行かずに道脇少年は自分を探してさまよい続けます。

 

そうして大人になり、ある日車を運転していたときにタイヤのボルトが外れて危険な目に遭い、「じゃあ、緩まないボルトがあればもっと事故は減って安全になるのでは」と思ったところから彼の発明人生が始まります。

 

31歳で会社を立ち上げ「緩まないボルト」を製品化、瞬く間に製造業界で評判が広まり、「発明界の革命家」としての地位を確立されていきました。

 

私は、道脇さんがそうして自分の人生の答えを自分で出した、その生き方に本当に感動しました。

人生に対するぼんやりとした疑問は、おそらくは誰しもが持っているはず。

でも、その問意に対して正面から向き合わず、それなりに暮らしている人が多いのも事実です。

道脇さんは、自分の青春期をすべて使って、他の子が学校に行って青春を謳歌しているときにもひたすらに人生の意味を問い続け、探し続けられたのだと思います。

 

「そんなことを考えるぐらいなら、勉強していい大学に行っていい会社に入った方が幸せになれるだろう」

今学校に行っている中学生、高校生が道脇さんのように考えて悩んでいたとしても、先生からはこのように言われるのが関の山でしょう。

ここまで露骨ではないにしても、悩み考えることの価値をどこまで学校の教育現場が理解しているのかは甚だ疑問です。

 

本当の人生の意味を考えるには、学校のフィールドはあまりに道脇さんにとっては窮屈過ぎた。

その気持ちにあくまで正直に、自分の生きる道を学校の外に見つけ出し、納得がいくまでさまよい続けた心の強さは、さすがとしか言いようがありません。

 

悩むこと、考えることの意義を、最終的に社会的業績を上げることで具現化した道脇さん。

人生に思い悩む若者にとっては、これほど心強い先輩はいないと思います。

 

人生の先輩との出会いが、また一つドキュメンタリーを通じて増えました。